結婚式と初夜 フランソワーズSide ※

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 ――この人が私の夫なの?    湯の中に座った状態で、そっと後ろから抱かれた。私は後ろを振り向いてキスをした。  愛していることがバレてしまいそうだ。幸せ過ぎて泣きそうだ。  初夜を迎える私のために、湯の中にはバラの花びらが浮かべてあって蝋燭の灯りでとても幻想的な雰囲気だ。私たちは互いの瞳を見つめ合った。  初めての深いキスをした。 「聞いてほしいことがあるんだ。この前、最後までしていい?と聞いた日、結局、僕は最後までしなかったよね。今日のためにとっておいたんだ」    彼の胸の中で私は温かい湯につかっていて、私は体勢を少し後ろを振り向く形で、彼は前屈みになって私の頬に彼の頬がつくほどに接近していた。  彼の穏やかだけれども、ドキドキしていることが瞳の煌めきと彼の胸の鼓動から分かった。 「フランソワーズ、君が僕を愛していないことは知っているけれど、僕は君に夢中なんだ。大好きなんだ。いつの間にか君を愛していたんだ」  それは信じられないような言葉だった。  驚いて目を見開いた私に、もう一度彼はキスをした。
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