辺境伯ブルク家ご令嬢

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 外では話しずらい依頼だと推測して、私は仕方なく家に彼女を入れた。 「突然、押しかけてきてごめんなさい。あなた今一人なのかしら?」  ゾフィー令嬢は私の家の中を面食らったように見つめて、そっと私に聞いてきた。あまりに質素な家に驚いたのだろう。国から手当をもらっている正式な聖女なのに、手当のほとんどを借金取りに法外な利子をつけて巻き上げられている私の事情は、大金持ちの彼女は知らないことだ。貧しい調度の家に彼女が驚いても仕方がない。  ――こんなにみすぼらしい家で恥ずかしいけれど……仕方ないわ。  窓の外を見ると豪華な馬車が待たせてある。侍女二人が馬車の外に立っていてこちらを見つめていた。 「病気の母が奥の寝室で寝ていますが、他には私だけですわ」  私は最低限の礼儀正しさを込めて答えた。 「そうなの。あなたにお願いがあるの。極秘のお願いよ。その……媚薬が欲しいの」  ゾフィー令嬢は顔を赤らめて小さな声で私に言った。彼女は緊張していて、恥ずかしいお願いをしているという自覚があるようだ。唇を噛み締めていて緊張していた。  ――媚薬……?  私は想像すらしていなかった言葉に戸惑った。 「どなたに媚薬を使われたいのですか?恋人でしょうか?」  
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