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朝から何も食べていない。喉が渇いた私はそろそろとベッドから出た。出ようとしたところで、後ろから裸の腰に腕を回されて「ごめん」と王子に言われた。
私の心臓が止まりそうになった。
私はゆっくりと振り向いた。
「ごめんなさい」
王子は何も身につけていない状態の私に自分のガウンを着せて平謝りしてきた。
「私が第一聖女ではないことに気づいていたのですか?」
私は衝撃のあまりに心臓が凍りつきそうになりながら、王子に聞いた。
「君があまりに可愛いから。ごめんなさい。何もかも脱がした時に気づいた。でもあまりの可愛さにやめられなかった。ごめんなさいっ!」
私は目を見開いて、目の前で美しい顔を赤らめている王子を見つめた。
「君が初めてだったというのは、その……分かった。指1本できつかったから……」
私はあろうことか、王子に平手をくらわした。
「痛っ!」
王子は打たれても当然だと思ったらしく、本当に申し訳なさそうに慌てて謝ってきた。
「本当にごめんなさいっ」
私は王子がかけてくれたガウンで体をしっかり包み、涙が込み上げてくるのを抑えきれなかった。
バカにされた気分だった。私は王子が好きだったのだ。その気持ちを弄ばれたように思った。
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