契約婚 ※

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「君は僕のことが好きではない。僕の気を惹こうと煩わしいことはしないでしょう。僕が君と結婚すれば、皆が満足だ。第二聖女の君と結婚するなら、国民の誰からも文句は出ないだろう?だって、国のためには良いことだから。僕は媚薬を盛られたり、好きでもない令嬢にしつこく言い寄られたりしないで自由になれる」  私はまじまじと王子の顔を見た。 「本気ですか?」 「あぁ、本気だ。僕らは仕事で一緒に過ごす時間が長くてお互いに気心を知れている。何より、僕が第一聖女に心惹かれてまだ引きずって立ち直れないのを知っている。君なら僕はそばにいても安心なんだ」  二人でベッドの上に座ったまま、王子は両手で私の両手をしっかりと握った。私の目を真っ直ぐに美しい瞳で見つめている。さっきまで色っぽい目線で私の体を見つめていた人と同一人物だ。 「僕らの間に愛が無くても、僕は君を大事にする。君は僕の心が他の女性にあると知りながらも、僕の症状に付き合ってくれた貴重な人だ。悪いようにはしない」 「一つ、互いに愛がない結婚を続けることを受け入れること」 「二つ、他の人を愛したとしても、静かにそれを受け入れること」
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