妨害と決意 フランソワーズSide

6/6
前へ
/207ページ
次へ
 私は王子の乗る馬の前に一緒に座らされた。王子が後ろから私を抱き抱えるようにして馬を走らせていることに、胸の鼓動はずっと高鳴っていた。  私の目の涙はいつの間にか乾いていた。 「フランソワーズ、無事で本当に良かった」  王子の低い声が聞こえて、私は軽々と抱き抱えられて、馬から降ろされた。  今日だけ、王子は私を特別扱いしてくれる気だろうか。     ――私の胸の鼓動に王子さまは気づいていらっしゃいませんよね……。  私は抱かれたまま、王子の腕の中で気を失った。  力が尽きたようだ。  私は心地よい腕の中ですっかり安心しきっていた。 「君がニーズベリー城の新しい女主人だ」  どこかで王子の声が聞こえた気がしたが、私は目覚めた時にはすっかり忘れていた。  
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

385人が本棚に入れています
本棚に追加