ロバート・クリフトン卿Side

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 彼女は薔薇色の頬をした聖女だ。努力家で、多くのスキルを身につけており、国のために王子のために身を捧げる覚悟のできた、尊い志に見合うだけの力を身につけた聖女だ。 「ですから、我がクリフトン伯爵家にとってあなたには次代のクリフトン伯爵令嬢をできるだけ早く選んでもらう必要があります。そしてあなたは待望の世継ぎをこしらえる必要があるのです。聞いてますかっ!?ロバート?」  母の怒りはもっともだろう。この1年で18回も縁談をまとめた母の苦労を思うと、私に怒りを露わにする母の態度は当然と思える。 「先代に顔向けできませんっ!私はクリフトン伯爵家を未来永劫残すよう努めることを、先代と約束したのです。あなたは我が息子ながら……聞いているのかしら、ロバート!「聞いていますっ!」」  私は母の言葉にビクッとして反射的に応えた。私の頭の中にはいつの間にか、あの方の勇敢でいながら優しく可愛らしいところのあるお姿が投影されており、いつの間にか母の小言を中途半端に聞いていたようだ。  それが母にバレた。 「あなた……意中の令嬢でもいるのね?」
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