ロバート・クリフトン卿Side

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 女の勘は怖いと、クリフトン伯爵である父は常々私に言っていた。私は母に見透かされて、ビクッとして母を見つめた。慌てて首を振って否定をした。 「あぁ、いるのね。だから私がまとめる縁談を悉く潰すのね。分かりました」  一言もさっきから発していない私だが、どうやら母にはバレたようだ。思わず、ため息を漏らしてしまった。 「こちらがため息をつきたい状況ですわ。そのお方を連れてらっしゃい。私がどういう方かお会いしますわ。ロバートの手に追えない方ではないでしょうね?」 「は……母上」 「ほぉ?図星のようでございますわね。殿下に我が息子が惚れ込んだ令嬢がいるようだとお聞きした方がよろしいかしらね?」  母はスティーブン王子と親しい。私が幼い頃からスティーブン王子と遊び友達だった関係で、スティーブン王子は我がクリフトン伯爵家によく遊びにきていた。王宮より我がクリフトン伯爵家の食事やベッドの方が好きだと駄々をこねては周囲の者を困らせていたぐらいだ。 「殿下に明日使いの者を差し上げましょう」 「な……何用でございますか?」  慌てふためく私をちらっと見た母は、にっこりと微笑んだ。
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