ロバート・クリフトン卿Side

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「あなたの意中の方を殿下に教えてもらうためよ「やめてくださいっ!!」  私は慌てて母を止めようとした。 「クリフトン伯爵であるお父さまにもお話ししておきますわ。ロバートに意中の令嬢がいるようだと」  合点の入った様子でうっすらと笑みを浮かべた母を止める方法はないだろうか。 「今日は寝癖がひどいわ。あなた、もしかして……」  母はそこで黙り込んだ。   ――もしかして何だ? 「叶わぬ相手に恋焦がれているのかしら?」  母の静かな声が私の胸を刺した。そうだ。私の恋は片想いのようだ。スティーブン王子は第二聖女との婚約を発表した。だが、スティーブン王子が本当に愛しているのは第一聖女だったヴィラ嬢だ。そこことをスティーブン王子は秘密にされているが、幼馴染の私にはよく分かっていることだ。  何があったか分からないが、スティーブン王子は第二聖女との婚約を急に発表なされた。それは『媚薬』を盛られたというおぞましい事件があったための一時的な対応策だと私は理解している。まさか本気で第二聖女と結婚する気はないだろう。  しかし、私の心中が穏やかではないのは確かだ。
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