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――可愛いく見える?
――薔薇色の頬……?
全く意識していなかった第二聖女のフランソワーズは、突然僕の前に出現したような感じだった。
前から勇敢で真面目な使命感に燃えている、国に忠実な聖女だと認めてはいた。だから、多くの時間を一緒に過ごしてはいた。それは、他の騎士団や王子つきの側近たちと変わらない認識だ。
――それなのに、それなのに?
媚薬を飲まされてから、咄嗟にうろ覚えだった彼女の家の住所を御者に告げて逃げ込んだまでは確かに記憶がある。それなのに、食べたこともない粥や食べたこともない美味しい焼きたてと思われる温かいパンをもらった辺りから、記憶が曖昧だ。
気づけば、何てことをしたんだろうと自分でも膝から崩れ落ちてよろめくような醜態を、彼女に晒していた。
そうだ。
そうなのだ。
僕は。
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