戸惑い スティーブン王子Side

4/7
前へ
/207ページ
次へ
 彼女がそばで食事をとっても全然平気だ。  彼女が僕の隣にい続けても全く平気だ。  よく考えたら、女性ながら彼女ほど僕の隣にいる人も今までいなかった。  僕がいまだに愛していて、その呪縛から逃れられないあの人以外に、だ。    契約婚を決めてからは不思議に気持ちが軽くなった。  胸が締め付けられるような思いに苦しめられていたのに、フランソワーズを事故で抱いてしまってからは、不思議なことに苦しい思いが減ったのだ。  昨晩、彼女の家に放火があったのは僕のせいだ。  なんの前触れも根回しもなく、貧しい家出身の第二聖女である彼女との結婚をいきなり発表したからだ。突然の発表のせいで、彼女にその皺寄せが行ったのだ。  フランソワーズの命が狙われたのは間違いない。  僕はそのことを決して許せない。彼女が無事だと聞かされてからも、一晩中眠れずに騎士団の報告を待ち続けた。  目の前にすすだらけの彼女が現れたとき、僕の胸に温かいものが込み上げてきた。  僕は彼女を守りたいと思った。  
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

384人が本棚に入れています
本棚に追加