戸惑い スティーブン王子Side

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 騎士たちは心強い態度でうなずいてくれた。ほっとした僕は放火の件を父である国王に相談せねばと思いながら執務室に戻った。  ――契約婚だろうと、式はやはり急ぐ必要があるな。フランソワーズが目を覚ましたら、すぐに仕立て屋を呼ぼう。挙式全般を任せるなら誰だろう。やっぱりあいつに任せるか。  僕は親友の顔を思い浮かべながら、執務室に入った。  ――契約婚の契約書の条項に一つ追記しよう。  結婚が続く限り、必ず身を守ると。  ――あっ!夜の義務を夫は果たすと追記しておくべきではないだろうか。  そこまで思った時、自分の考えに驚いた僕は真っ赤になった。  ――その義務は果たしたい。  ――なぜ?  ――あっ、彼女に確認すべきだろうか。  脳裏に浮かんだ色っぽい姿に動揺して、自分で自分に飛び上がってしまった。  ――だめだ。平常心に戻れない。  しっかりせねばならないのに、何たる状況と自分を自分で叱咤した。  自分はどうにかしてしまったのだろうか?
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