ゾフィー令嬢の失踪 クリスティーネSide

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 執事のルイスは急いで医者を連れてくるために馬車と使い者を手配した。私は奥様へのお水をお持ちした後、旦那様がゾフィーお嬢様の捜索を強い口調で従者の皆に指示を出すのを聞いた。侍女たちは屋敷中をくまなく探すようにと言われて、皆が屋敷のあちこちに散らばって探し回った。  私は奥様のご様子を見るようにと言われて、奥様のお部屋で心臓をドキドキさせながら見守っていた。この時点で、お嬢様付きの侍女モニカと旦那様と奥様しか、ゾフィー令嬢の置き手紙を読んでいなかった。  しかし、旦那様と奥様とモニカこれほどの慌てようから、ゾフィーお嬢様が残した置き手紙が大変なことを意味するものであったに違いないと私には推測できた。  ――何か恐ろしいことが起きているのだわ。  奥様のためにお医者様が到着して、お医者様は何が起きたのかを旦那様に聞いた後に、奥様のご様子と合わせて旦那様にこうお伝えしていた。 「ブルク伯爵夫人は心労で倒れたのだと思われます。しばらく心理的負担のかかる話はこれ以上は話してはなりません」  旦那様はお医者様の言葉に深くうなずき、涙を浮かべてらした。
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