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お医者様を送る帰りの馬車がブルク辺境伯邸を出た後、旦那様はすぐに執事のハリーに治安判事を迎えに行かせた。
私は治安判事がやってくるというだけで、何か末恐ろしいことが起きたのだと改めて理解した。
奥様の部屋で待っている間、旦那様と私とベッドに寝ている奥様だけになった時間がしばらくあった。
「クリスティーネ、君も読んでみてくれないか」
「かしこまりました」
旦那様は私にゾフィー令嬢の置き手紙を差し出してきた。私は覚悟を決めてその手紙を読み始めた。
手紙には驚くべきことが記されていたのだ。昨日急にスティーブン王子の花嫁になると発表された第二聖女であるフランソワーズ聖女さまについて言及されていた。
馬車で治安判事が到着するまでの間、ブルク辺境伯は手紙を何度も何度も読んでいた。
広大な領地を所有するブルク家の従者の大勢が、既にゾフィー令嬢の大掛かりな捜索を開始しているはずだ。皆が必死で捜索してくれているはずだが、見つかったという朗報はいまだに飛び込んで来ない。
手紙の内容は次の通りだった。
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