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目を覚ますと、とてつもなく大きく豪華なベッドに寝ていた。
「フランソワーズ様、お目覚めでしょうか」
そばに控えていたらしい侍女がそっと私に声をかけてきて、私は飛び上がるほど驚いた。赤褐色の髪を綺麗にまとめていて、宮殿に仕える侍女であることが一目で分かる服装だ。彼女の瞳は淡いエメラルドで、温かみがあった。
「わたくしは今日からフランソワーズ様のお世話を申しつかっておりますアガサです」
「まあ、私は明け方にニーズベリー城にやって来て泊まったのだったわ。その……アガサ、よろしくお願いします」
「はい、スティーブン王子様がフランソワーズ様をこちらに抱いて運ばれてきまして、こちらのお部屋を使うようにと、フランソワーズ様をベッドに寝かしてくれたのです」
「あ……」
私はハッとした。馬でリーズベリー城の入り口までスティーブン王子と一緒に乗ってきて、その後、倒れたことを思い出した。
私は赤面した。顔が真っ赤になったに違いない。彼の腕の中に確かに私は抱かれたと思う。
「スティーブン王子様はフランソワーズ様をベッドに寝かせた後におでこにキスをされて、フランソワーズ様の髪についたススをとってくださっていました。愛されているご様子に、胸がキュンキュンしましたわ」
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