リーズベリー城での最初の1日

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 真っ赤になった私に全く気づかない様子で、アガサは夢中になって私が気を失った今朝に何が起きたかを話してくれた。彼女から話を聞くととてもロマンティックな話に聞こえてしまう。  ――おでこにキス!?  ――なぜ?皆の前ではお互いに愛し合っていることにしなければならないから?  私は皆の目があるところでの振る舞いを敢えてスティーブン王子はされたのだと、納得した。 「フランソワーズ様、お湯の準備ができておりますわ。まず、昨晩の汚れを落としましょうか」 「そうだったわ。私は火事にあったのだったわね……」  一瞬、悲しくて悔しい想いに囚われたが、アガサの明るい笑顔に救われた。私はベッドから降り立ち、アガサに案内されるがままに隣の部屋に用意されている豪華な浴室に行った。 「フランソワーズ様、服を脱ぎましょう」 「え?自分でやりますわ」 「かしこまりました。お手伝いして欲しいことがあれば何なりとお申し付けくださいませ」 「わかったわ。全て一人できるから、あなたは外で待っていてくだされば良くてよ」 「はい、分かりました。でも髪の毛を洗うお手伝いをしますので、お湯に入った途中で入ってきますが、よろしいでしょうか?」 「え?髪の毛?」
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