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胸に込み上げる後ろめたさは、皆を騙すことになる後ろめたさだろう。
「け……け……結婚式までみなさん、よろしくお願いしますね」
第一聖女ヴィラが言ってくれた「薔薇色の頬」をイメージして、アガサを始めとする侍女たちに私はニッコリと微笑んだ。
「も……もちろんでございます!」
「フランソワーズ様!心してお仕え致しますわ」
「はい、私どもにお任せくださいませ」
放心したような雰囲気が侍女5名に一瞬で現れたように思ったが、皆が口々に伝えてくれた言葉は心からのものであるようだ。
私は自分の置かれた立場のあまりの変わりように戸惑いを感じつつ、少しときめきも感じていた。
私が侍女たちが用意したドレスに身をつつみ、髪を整えてもらって普段はしない髪の結い上げてもらって、ほんの少しばかりおしろいをはたいてもらったところで、部屋の外が騒がしくなった。
「はっ!スティーブン王子。フランソワーズ様はお目覚めになった模様でございます」
ドアの外で従者の誰かが答える声がして、続いて「スチーブン王子がいらっしゃいました」という声がした。
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