リーズベリー城での最初の1日

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「最初の贈り物だ、愛しいフランソワーズ」  小さな細い箱の中にはダイヤのネックレスが入っていた。  私の心臓は止まりそうだった。私の瞳を覗き込んだ王子は、私の唇をすっと指でなぞった。そのまま王子は私の唇に自分の唇を重ねた。惚けた表情になった私の表情に「たまらないな」とつぶやいた王子のささやき声が聞えた。  王子は私の首にそのダイヤのネックレスをつけてくれた。エメラルドだ。  王子の指が私の首筋にあたり、私は「ひゃっ」と声をあげて飛び上がってしまった。  王子に触れられたところだけが熱く、くすぐったい。  王子は私の反応に真っ赤になられて、動揺されたように思う。私たち二人の頭の中には、瞬時に王子が私の衣服を何もかも脱がせたあの時のことが脳裏に浮かんだに違いない。 「うん、とてもよく似合っている」  王子はダイヤのネックレスをつけると、何か別のことを考えている様子で色っぽい表情でささやいた。それは一瞬の変化だった。動揺されたように思うのに、私がドギマギしているのが分かると、王子はグッと私のドギマギしている動揺に踏み込んできたのだ。  
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