心のかせ スティーブン王子Side

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 侍女たちに衣装を着替えさせてもらって、湯浴みして髪の毛も洗ったらしいフランソワーズは、想像以上に可愛らしかった。髪も結い上げられており、今まで見たこともない格好をしていて、それが爆発的に可愛いかった。  思わずさっと横を向いたが、独り言で「可愛すぎる」とつぶやいてしまった。  部屋の温度が一気に上昇したように思う。彼女を見た瞬間、体が熱くなった。  第一聖女ヴィラと僕は体の関係があった。とことんお互いに好きで、挙式前に体を思わず許し合ったことがあったのだ。僕はその呪縛からずっと逃れられなかった。寝ても覚めてもヴィラの面影が色んな景色の中にちらつき、ヴィラを手放してしまった自分に腹が立ち、悔やんだ。  苦しかった。  大好きなヴィラを一度疑ったことがあったのが、結果的に彼女の信頼を僕が失ったのだ。ヴィラが僕を生涯を共に過ごすには不足の相手だと判断しても仕方がないことだった。僕の落ち度だ。あれほど好きだったからこそ嘘の情報で激怒してしまった。でも、好きなら本当に愛しているなら、よくヴィラの話を聞くべきだった。
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