心のかせ スティーブン王子Side

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 色んな令嬢が僕に言い寄ってきたが、隣国の王妃になったヴィラに未だに夢中の僕に取っては、貴族の令嬢が擦り寄ってくる感じが迷惑にすら思えた。  僕は何かの理由を見つけては、隣国のヴィラの元を訪れていた。彼女にひたすら会いたかった。その自分を抑えることができなかった。ヴィラの結婚式にも歯を食いしばって出席した。苦しみを隠して、表面上はにこやかに振る舞えたと思う。  フランソワーズには最後までしていない。けれども、僕はなぜかいつも横にいた彼女が突然可愛くて可愛くて愛らしくて守るべき存在に思えて、仕方がない。気づけば、ジュノ公爵令嬢エリーゼに媚薬を盛られてから、一度もヴィラのことを考えていなかった。    フランソワーズがニーズベリー城で休んでいる間に僕も少し仮眠を取った。しかし、すぐに起きて、彼女の衣装に関する手配をクランセラー夫人に念押しした後に、王室御用達の宝石商を城に呼んでもらった。数ある宝石の中から彼女の瞳の色に近いエメラルドのネックレスを選んだ。そのネックレスは彼女の瞳を思い出させて、とても美しかった。  可愛すぎて、こちらがどうにかなりそうなほどのフランソワーズを前にして、僕は思い切ってそのネックレスをあげようと思った。  彼女にネックレスを見せようと接近した時、自分でも思わぬ行動を取った。
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