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――彼女の心をこちらに振り向かせたい。
僕は彼女の手を取って、食事の間に連れていきながら、どうやってフランソワーズの心を射止めることができるのかを考え始めた。
――待てよ?すごいことではないか?
――ヴィラのことを何も考えていない時間を更新している。
――これは……僕はフランソワーズに恋をしたということではないか?
あんなに苦しかったのに。
もがいてももがいても出口がない沼のようだったのに。
世界が輝いて見える。第二聖女のフランソワーズは僕のそばにずっとついていてくれたのに、僕は何も気づいていなかった。世界はこんなに素晴らしく色鮮やかに僕の周りにあったのだ。
僕は、呼吸もできないほどの苦しみから解放された。
僕の恋には常に厳しい試練がつきまとう。
それは僕が王子だからであり、王位継承権第一位が担う重責に耐えられるのかの資質を問われるものに恋が含まれるからだ。王国の未来を担う者として正しい行動ができるのか、恋を含めて試練が押し寄せて、より大きなものに審判される。
第一聖女ヴィラとの間に起きたことは、問われた資質に対して僕が正しく振る舞えなかったことが原因だ。
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