なんでも話せる人 フランソワーズSide

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「彼は君から巻き上げたお金で君の名義で土地を購入した」 「え?」  私は絶句した。  ――ブルックはなぜそんなことを? 「それはブルック自身に今度聞いてみたら良いと思う。君のお父様はジットウィンド枢機卿に仕えていた。現職の大法官も兼任している、ジットウィンドが枢機卿になる前のことだ。ブルックは当時はブルク家の当主ジャイルズ・ブルクがまだ当主になる前に、治安判事をしていた頃の治安書記だった。二人とも奇妙な偶然で、同じ時期に当時の仕事を辞めた。謎だと思わない?」  スティーブン王子は私に言った。  そう言われてみれば、確かに妙な気がする。  ――ブルックと父さんは知り合いだった?  私の頭の中で、知らない話がぐるぐると回り始めた。父が亡くなった時、とてもお金に困ったことがあった。あれは住んでいる家について言いがかりをつけられた時だ。その時お金を貸してくれたのがブルックだった。  ジャイルズ・ブルクは、私の家に媚薬が欲しいと押しかけてきたゾフィー・ファナ・ブルク辺境伯令嬢の父だ。
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