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宇宙宅配便のサービスを利用する異星人の中には、地球人も一応含まれてはいる。
ただし、地球の人達は気難しく、僕達異星人を警戒する者も少なくない。二百年くらい前にとある惑星の住人がうっかりロケットをぶっぱなし、太平洋上に落下したことで異星人が発見されたというから、ある程度不審に思われるのも仕方ないことなのかもしれないが(むしろ、二百年前まで異星人の存在に気付かなかったのがなんとも平和ボケしているというかなんというか)。
地球人たちは、僕達と違って腕が二本、足が二本しかない。頭も一個、脳と心臓も一個ずつという奇妙な姿をしている。手足がそれぞれ五本ずつ、脳と心臓も三個ずつある僕からすると、なんともシンプルで不便な体をしているなあと思ってしまう。だって、心臓や脳が一個しかないなら、一個潰れたらもう駄目になってしまうということではないか。体の中に予備を持っていない上、体の表面も非常に柔らかくて脆い作りになっているという。
多分それは、地球という惑星が恵まれた気候、環境にあったからだろう。
僕達オコロ星人は、遠い昔に太陽系の外から移住してきた民族である。僕達の母星は、夏は気温が二千度、冬はマイナス五千度というのが一般的な気温だった。地球の気温は、一番寒い南極のあたりでさえマイナス五十度とかそこらへんだと聞いている。なんと温かく、住み心地の良い環境だろうか。
そして、異星人による侵略がほとんどなかった星でもあるらしい。よその惑星が惑星間の戦争でごたごたしている頃も、地球の人間たちは地球人どうしで小競り合いをするばかりだったのだそうな。なるほど、そんな環境ならば、僕達のような鋼の皮膚もいらないし、予備の心臓や手足もいらなかあったということなのだろう。
――でも、地球の存在も、異星人たちに広く知られるようになったし。地球人も、もうちょっと進化しないと危ないと思うんだけどなあ。
僕はパソコンの前で事務仕事をしながら、そんなことを思ったのだった。
ちなみに、うちの会社は“電子メール”の送受信も委託されている。古き良き手紙を好む人もいれば、電子メールで簡潔なやり取りを好む人もいるからだ。ただし、メールの類は、惑星と惑星の間で直接送信することはできない。特殊な電波塔を使わなければいけないからだ。
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