はじまり

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「おいおい。祭りの準備はできたのか?」 「いんや」 「お前さん。いっつもそんなだねえ」 「それなら、起こすな起こすな」 「いんや」 「お前さん。いっつもそんなだねえ……」  …………  ヒュー、ドロロロロ。  ヒュー、ドロロロロ……。  うん?  何か打ち上げ花火のような音がするな?  鯛の奴がテレビ消し忘れたか?  せっかくの修学旅行だし。  まあ、いいか……。  もう少し寝ていよう……あ、今度は祭囃子(まつりばやし)が聞こえた来たぞ!  鯛の奴!! 「いいかげんにしろ!! 明日はお城を観に行くって言っただろ! 朝早いんだぞ!!」 「あ! あれ! あれ!」 「うん?」  顔を真っ赤にしている鯛の奴が、部屋の中央で突っ立って、旅館の窓の外を指差している。それから、指差した後に布団に潜りやがった?!   「テレビ消してくれよ……あ?」  俺も窓の外を見たら、顔が真っ赤になった。  真っ赤になった一番の理由は、「ありえねえー!!」だ。  その途端。お祭り騒ぎの人々の声や、太鼓やら笛やらの音がドッと部屋に入って来た。もう頭の中までお祭り騒ぎだ。 「……なんだってんだ!! ……大きいなあ……花火」  旅館の窓の外は、確かスポーツ施設だったはずだ。  けれども、今は遥か彼方へと広がる海に、大きな花火が昇っていた。
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