夏祭り

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 そして、パラパラと色とりどりの火花が落ちていった。 「綺麗だなあー」 「お、花火か!」  鯛も俺も踊りで少し疲れていたので、海の上にあるかき氷の屋台へ向かった。蜃気楼のように朧気な店員は、金を払うと、ニッカと気さくに笑った。    屋台の傍に、竹でできたベンチがあって、そこへ鯛と座る。  こんな厚い日だ。かき氷は、一気に食べると、頭がキーンっとするからいいんだなあ。  しばらく、鯛と一緒にかき氷をバクバクと食べていると、声を掛けられた。 「隣。いいですか?」  浴衣姿の綺麗なお姉さんだった。  団扇片手で、かき氷を持っていた。  何故かこの人だけ。姿が朧気じゃないんだな。  俺は綺麗なお姉さんから、目を逸らしてそっぽを向いた。 「あ、いいッスよ」  鯛がニッコリと竹のベンチで空きを作る。  俺は綺麗なお姉さんを見て、鼻の下を伸ばしている鯛の頭を叩くと、かき氷を口いっぱいにかきこんだ。 「かき氷。美味しいね」 「ああ、美味しいッスね!」 「……」  俺はそっぽを向いたまま、かき氷をひたすらにかきこんでいた。  
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