4人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、パラパラと色とりどりの火花が落ちていった。
「綺麗だなあー」
「お、花火か!」
鯛も俺も踊りで少し疲れていたので、海の上にあるかき氷の屋台へ向かった。蜃気楼のように朧気な店員は、金を払うと、ニッカと気さくに笑った。
屋台の傍に、竹でできたベンチがあって、そこへ鯛と座る。
こんな厚い日だ。かき氷は、一気に食べると、頭がキーンっとするからいいんだなあ。
しばらく、鯛と一緒にかき氷をバクバクと食べていると、声を掛けられた。
「隣。いいですか?」
浴衣姿の綺麗なお姉さんだった。
団扇片手で、かき氷を持っていた。
何故かこの人だけ。姿が朧気じゃないんだな。
俺は綺麗なお姉さんから、目を逸らしてそっぽを向いた。
「あ、いいッスよ」
鯛がニッコリと竹のベンチで空きを作る。
俺は綺麗なお姉さんを見て、鼻の下を伸ばしている鯛の頭を叩くと、かき氷を口いっぱいにかきこんだ。
「かき氷。美味しいね」
「ああ、美味しいッスね!」
「……」
俺はそっぽを向いたまま、かき氷をひたすらにかきこんでいた。
最初のコメントを投稿しよう!