届けたい思い

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 運転していたのは加藤直樹。車のカメラ画像で不慮の事故と言うことになった。しかし、三才児を死亡させてしまった罪を背負ってしまった。 子供の母親の悲嘆は治まらず、メールや電話での執拗な訴え方に直樹は精神を病んでしまった。仕事もままならずクリニックに通うようになった。 彼は結婚を約束した彼女がいた。いつも付き添って診察室に入っていた。 その日は涙ながらに彼女が話し出した。 「直樹だけが悪いのではありません。目を離した母親にも責任があるのです。仲間同士で立ち話をしている神経が わかりません。こんなこと言いたくありませんが、優しい直樹をこんな風にしたあの母親を恨みます」 「僕は優しい人ではない。大切な子を引いて僕は生きてる。呪い殺されても文句は言えない」 すると、ドクターが聞いた。 「危ないと思った時、ブレーキ踏みましたよね」 「瞬間、思い切り踏みました。でも間に合いませんでした」 泣きながら話す直樹。 「踏んだそこにあなたの優しさがあったんですよ。生きたかったその子の思いを忘れずに生きて下さい」  それから間もなくして子供の母親からは何もこなくなった。
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