幸福探し

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幸福探し

  「雪乃にはもっとイイ男をあてがわなくちゃ」  私が二十代半ばとなっても独身であることに古い価値観そのままの母が焦って、次から次へと見合い話を手配してきた。  母と叔母がセッティングした見合いの流れでお付き合いした人の数は数え切れず、否、数えたくないほど。  何故親目線で男を選ぶんだと、相手がある事なのに私は我が道を譲らず、とにかく斜め上を突っ走った結果、綺麗さっぱり全部御破算になった。  そして私は昨日、無事恋人のいない三十四歳になった。  誕生日は家族三人で過ごした。無論、母の独演会。  二十代の頃は毎月のように舞い込んで来た見合い話も三十を越えてから一気に減った。たまに行って、素敵な人だなと思うと絶対にバツイチ。バツイチだって問題ないと父が言う。問題ないかどうかは私が決めたい。  見合いには良い思い出がない。着物は親子共通の趣味だから和装で参戦。着付けは完璧、化粧も抜かりなく、見合い会場でスンとしていると、相手からまるで呑み屋の女将さんですね、いやあ見事ですと言われる。おまえはそのケチな客だろ!  
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