始まりの日

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「えーみなさんの心身の健康共に健やかな学 校生活を願います」 『校長先生、ありがとうございました。次 は部活紹介です……』 ふーん。 色々部活があるんだ。 一応気になる部活があったけど、()()に影響がでるからなぁ。 もしかしたらバレるかもしれないし。 ん?違和感がある? あぁ、みんなは知らないんだった。 多分「仕事」っていう単語に違和感があったと思う。 私は、みんなには言っていない秘密がある。それは、「女優」ということ。 今ニュースとかでよく取り上げられている「紬」は、私のことなんだ。 でも、みんなは気づいてない。 だって目立たないようにカツラを被ってるし声音も変えてるからね。 プロでもない限り、見つかるはずがない。 でも、演技に関しては私に勝てる人はいないんじゃないかな。 だって日本演技大会で優勝したもん。 自信はある。 『新入生の皆さんは、各自教室に行ってく ださい。』 そんなこんなで入学式が終わった。 早く教室に行こう。 えっと、1年3組1年3組っと。 「うわっ」 「きゃぁっ」 痛ぁ。 「いたた。ごめん。大丈夫か?」 ん?この人は確か…… 「俺のこと知ってる?映画部の部長の杉高  昴だけど」 なんか目付きが鋭い? ヤバそうだな。 「あ、はい知ってます私の不注意でぶつかっ  てしまい申し訳ありませんそれでは失礼  します」 「あ、ちょっと!」 ここは逃げるが勝ち。逃げよう。 私は逃げて自分のクラス、1年3組に転がり込んだ。 不穏な雰囲気だなと思いながら席に着いて、深呼吸をして、自分の中で整理をする。 「お、おはよう。あ、あの、私、御影千草っ  ていうの。よろしくね」 隣の席の人が話しかけてきた。 「…ん」 「ひっ」 あ、まずい。 予想より低くて怖い声が出ちゃった。 千草さんほんとごめん。 周りの人が、 「気にすることはないよ」 「なにあいつ、ウザっ」 って喋っているのが聞こえる。 私は心の中で安堵した。 めっちゃ申し訳ないな。 でもそういうキャラじゃないと目がつけられるから… しょうがないっちゃしょうがないんだけど。 心残りが。ほんとにごめんね。 私のわがままなノリに付き合わせちゃって。その後も私はそっけなく対応して、見事クラス内で陰キャとして認められることができた。
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