フツウじゃない日の始まり

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体育館で入学式が終わると、教室に行くように指示された。 自分の名前を見るついでにこのクラスの名簿一覧を見ると、そこには見覚えがある名前があった。 って、星宮と同じクラス?! 驚きながら自分の席に座ると、 「やっほー拓海。同じクラスだったね」 と話しかけられた。 こいつは幼馴染の矢沢陽奈。 話しかけられたことを無視して星宮の方を見た。 「あぁ、あの子めちゃくちゃ美人だよね」 星宮ほど美人だと周りの人も興奮せずにはいられない。 女子は星宮の机を取り囲むし、男子は星宮の方に熱い視線を送ってメロメロ。 早くも『学園一の美女』と呼ばれている。まぁ俺は入ってないけど。 「しかも心も綺麗だって。カンペキだよね」 と、陽奈は感心したように言う。 「確かに完璧だな」 ぶっきらぼうに答えた俺を見て、陽奈は目を輝かせて言った。 なんかもう、周りにキラキラオーラが見える。 「ねぇ、一緒にあの子の後をつけてみよう  よ。放課後さぁ」 俺はフリーズ、つまり固まった。 頭で陽奈が言ったことを理解し終えるのに10秒くらいかかったと思う。 そして必死に抗議した。 「いやいやいやいや、しちゃだめだろ。色々  と罪に問われそうだし!というか、俺は行  かない。絶対に」 すると、陽奈はムッとした顔で言ってきた。「女の子を1人にするつもり?何かあったら  どうすんのよ」 いや、陽奈は強いから心配しなくてもいいのでは? まぁコイツ剣道習ってるし、それなりに強いからな。 心配するな、お前は強い! そう言いそうになったとき、ちょうどチャイムが鳴った。 クラスメイト達が続々と自分の机に戻っていく。 最後に 「とにかく放課後待ってること!いいね!」と釘を刺された。 どうやらいくのは確定のようだ。 ……最悪だ。
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