フツウじゃない日の始まり

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フツウじゃない日の始まり

俺の名前は宮下拓海。 今日からここ、天馬学園に通う中学1年生だ。 俺の目標は『普通の生活を送ること』。 今日は天馬学園の入学式。 早速門をくぐると 「わっ」 「きゃっ」 女子とぶつかった。 しかもその女子、なぜか構えの姿勢をとっている。 なんか変わった人だな。 武術でもやってるのか? 俺が構えの姿勢をとったことより気になったのは、女子がめちゃくちゃ美人ってこと。 「あっ」 その女子は構の姿勢を崩し、ぶつかったような体勢をとった。 俺は少し違和感を覚えた。 わざわざぶつかった体勢とるか、フツウ。 するとその女子はスッと立ち上がり、 「すみません。お怪我はございませんか」 と手を差し出してきた。 体が震えた俺は少し躊躇った後、その手を取って立ち上がった。 凛としたしっかりとしたその佇まいから、俺は「先輩かな?」と思った。 なんか…先輩っぽい。 しっかりしてますオーラが見える。 それと、『ございませんか』だよ?! 俺生まれて初めて聞いた。 「ありがとうございます。あの……先輩です、  か?」 なぜか俺は聞いてしまっていた。 あぁっ俺のバカバカ! そんなん聞いたら引かれるに決まってるじゃん。 俺の予想とは裏腹に、彼女は不思議そうな顔をしたあと、ふわりと花が咲いたかのように笑った。 「いいえ、私も新入生です。名前は星宮琥珀と  申します。あなたのお名前は」 えっ、先輩じゃないんだ。 びっくり。 そういえば、なんで俺が新入生だって気づいたんだろう。 「えっと、俺の名前は宮下拓海。よろしく」 「宮下さんですね。よろしくお願いします」 なんか気になるな、この人。 いや別に恋愛とかじゃないから! 確かに美人だけどね! 彼女…じゃなかった。 星宮さんはハッとした表情になって、 「それでは失礼します」 と言ってどこかに行った。 不思議な人だな。
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