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理解不能
「そこなんだけどさ、桜子たちにはまだ私が匠と付き合ってるってバレたくないんだよ。匠は『今は受験に専念したいから』って桜子たちと距離を置いたんだけど、受験が終わったとたんに私と付き合いだしたって知られたら『なんで勉強に専念してる間に二人が付き合うなんてことになるの?』って言われるでしょ?」
「うん、私にはさっぱり意味が分からないよ」
正直に答えると、倉田さんはうんうんとうなずいた。
「だよね。だから今、匠と一緒に家探ししてんの」
ダメだ。陽キャの人とは考え方の根本が違いすぎる。私には倉田さんの言っていることがさっぱり理解できない。
「青学はここから電車で通おうと思うと、片道で2時間弱かかるんだって。毎日4時間通学でとられるの辛いから、匠は一人暮らししたいって言ってるの。でもさ、東京で一人暮らしってお金かかるじゃん?」
「そうだね、物価も高いよね」
「それで、匠のお母さんが『真弓ちゃん、うちの子とルームシェアしてくれない?』って言ってきたのよ。私の通う製菓の専門学校が江戸川区にあるんだけど、そこからだと青学まで片道40分で行けるらしいんだ。だから江戸川区か江東区のあたりでルームシェアできる物件探ししてるの」
「ええっ、ルームシェア!?」
「そそ。私と匠ってお互いにお母さんのおなかの中にいるときからの幼馴染でさ、親同士も仲いいんだよね」
倉田さんはそう言ってにっこり笑う。
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