納得ハルちゃん

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納得ハルちゃん

 これはあれなの? 私の考え方が古すぎるの? 多分宇佐見先生なら『結婚前の若い男女が一つ屋根の下で暮らすなんてけしからん!』とかいってくれると思うんだけど……あっ、でも広義で見れば私たちも『結婚前の若い男女が一つ屋根の下で暮らしている』ってことになるのかな!?  自分の身に置き換えたら、急に倉田さんに対して親近感がわいてきた。 「『親が生活費をケチるためにルームシェアを提案してきて一緒に住んでるうちに付き合うことになっちゃった~』ってことにしたいから、もうしばらく私たちが付き合ってることは伏せておきたいんだぁ。吉岡さん協力してくれる?」  いたずらっ子のような笑顔で片目をつぶる倉田さんに私は大きくうなずいて見せた。  広瀬くんがどういう経緯で倉田さんと付き合うことにしたのかはよくわからないままだけど、親も公認みたいだしなにより倉田さんがこんなに嬉しそうならオールオッケーなんじゃない?   倉田さんの輝く笑顔を見ていると、そんな気持ちにさせられる。 「さぁ、みんな! お肉焼くわよぉ!」  スミレさんが後輩くんたちを従えて階段を上がってきた。 「お父さん、ジャンジャン焼いちゃって!」  スミレさんは大きなボールをさっきの背の高い男の人に渡している。  やっぱりあの人、湯浅くんのお父さんだったんだ。後でご挨拶してこなくっちゃ。
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