密室恋愛 下巻

狙いは普通のペアリング

「エターナルリングというのはこのようにリングの全周にダイヤモンドが途切れることなく並んでいる指輪のことでして、永遠の愛の象徴として婚約指輪や結婚指輪として選ばれることが多いんです。形がシンプルなので引っ掛かりを気にせず使っていただくことができます」

「婚約指輪としてもありで、これならペアリングにもなるってことですか？」
　最後の希望がともされた！　俺は食い気味に尋ねる。

「そうですね、男性用のご用意もございます」
　松平さんの返事に安堵したその時、吉岡が慌てだした。

「待ってください！　全周にダイヤだなんて……もっと普通のペアリングってないですか！？」

「エンゲージリングにこだわらないのであれば、各メーカーのペアリングを取り揃えておりますよ？」

「そちらをご案内していただけますか？」

「かしこまりました」

　立ち去ろうとする松平さんを呼び止め、俺は慌てて確認する。
「ペアリングとブライダルリングってどっちが防御力高いんですか？」

　松平さんは少し困った顔をしながらも違いを説明してくれた。
「ペアリングはいわゆるファッションリングとして付けられる方も多いですね。ブライダルリングは素材もプラチナやダイヤなど希少なものを使用している分、高価になります」

「本気度が問われるってことなら、ブライダルリングの方が防御力は高いんじゃないの？」
　そう問い詰めたら、吉岡は首を横に振った。