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松平の野望
「それでしたらこちらのエンゲージリングも一緒にプレゼントされてはいかがです? こちらは即日お持ち帰りいただけますのでチタンのペアリングが来るまでの間もつけられますし、何か記念日のときにつけていただいても華やかですよ!」
「それは良いですね!」
俺と松平さんが盛り上がっていると、吉岡が飛んできてぴしゃりと言い切った!
「学校にあんまり派手な装飾品はつけて行けないんで!」
しかし松平さんはやんわりと食い下がる!
「でしたらこちらのチェーンに通してネックレスにしていただくと服の下にこっそりリングを忍ばせておくこともできますよ」
「それもいいですねぇ!」
俺の送った指輪を吉岡が肌見放さずつけている図を想像して、俺は松平さんのプランに乗り気になる。
「身に付けもしない高価な指輪を買って、見えないように首から下げる意味がわからないです!」
吉岡はこの案も一刀両断で切り捨てた。
結局俺は、チタンのペアリングだけで会計処理を終えた。
「またのご来店をお待ち致しております」
残念そうな顔はおくびにも出さず、松平さんは通路まで出て俺たちを見送ってくれた。
「さすがは松平を名乗るだけあって、油断も隙もないですね!」
店から離れると、吉岡はそんな事を言いだした。
「えっ? 松平ってさっきの店員さんのこと? いい人だったよね?」
さっきまで和やかに談笑してたと思ったのに、吉岡的には松平さんのことよく思っていなかったのか!?
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