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相手の気持を推し測る
俺の中で豊臣秀吉から『一の谷馬藺後立付兜』を賜わった西村重就さんが俺に訴えかけてくる。
「やめておけ、相手を困らせるプレゼントはもはや、ただのゴミだ!」
もはやゴミ……27万の指輪を贈ってゴミとか言われたらちょっと泣ける。
ショップに来るまでは『吉岡は遠慮の塊みたいな子だから、安物で妥協しようとするんじゃないか』とか心配してたけど、どうやらそうじゃなさそうだ。
吉岡は要るものと要らないものがはっきりしている。要らないものは、たとえ『ただであげる』と言われても絶対に要らないんだ。
俺がしてあげたいことを吉岡にゴリ押ししちゃいけない。お正月に夢さんから言われたじゃないか。
大事なのは吉岡の気持ち。吉岡の望むことを望む時に望む形で用意できてこそ初めて騎士サファイアの仕事は結実する!!
独りよがりな「やってあげた感」は結局俺の自己満足でしかない。これを間違えると俺はすぐにブレーキの効かない特急列車になってしまうから注意が必要なんだ!!
この結論に達した俺を見て安心したかのように、『一の谷馬藺後立付兜』を被った西村重就さんはニッコリとほほえむと西殿のお馬様に跨がって去っていった。
ありがとう西殿のお馬様。お馬様が満足して去っていったということは、今日の買い物はこれが最適解だったに違いない! よし、やったぞ。俺達は最強の防具を手に入れた!
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