気持ちの矢印大混線

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気持ちの矢印大混線

 吉岡がそんなことを考えていただなんて! ひょっとしてあのエンゲージリングを固辞したのは、お返しの心配をしていたからなのか!? 俺は慌てて問いただす。 「何言ってんの吉岡! きみからお返しをもらおうなんてこれっぽっちも俺は考えてないよ?」 「先……じゃなくて真也さんはそういうと思ってましたよ。ペアリングも最近ではお互いに買って送り合うカップルも増えてるそうですけど、先……真也さんは嫌がるだろうなぁと思って支払いはお任せしたんです」 「当たり前だろ? ペアリングは俺が吉岡の防御力アップのために身につけててほしくて買ったようなもんなんだから……」 「でもそれって真也さんの防御力アップのためでもあるわけですから、私にもおんなじだけの理由があるわけですよ。ほら、今までだって結構色々トラブルありましたよね?」 「それは……」  倉田に白石先生に羽島に麗子……確かに何もなかったとは言い切れない自分がもどかしい。 「半返しまではいかないだろうけど、最初から指輪は先……真也さんにお任せして、お返しに今日のお昼は私が払おうと思ってたんです!」 「ひょっとしてそれが理由でさっきのエンゲージリングを諦めたとかいうことは……」 「それはないです。単純に私には必要ないものっていう理由です」  あ、そこは揺らがないんだ。    
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