密室恋愛 下巻

すり合わせタイム

　つまり、これはあれかな？　この間のミカ姉のフィフティフィフティ理論が吉岡の中に根付いちゃった感じなのかな？

　ここに来てようやく『絶対に失敗しない初めてのデート～彼女に突然フラれないための注意点100～』の言うことに活路が見えた！
『金銭感覚の違いは早い段階できちんとすり合わせておかなければいけません。付き合っていくうちにどんどん溝は深くなります。』

　今ここできちんと価値観をすり合わせて置くべきだと俺の直感が告げている。
「君の望むことは何でもしてあげたい。でもそれは見返りとかお返しを求めてのことじゃなくて、ただ君に喜んでほしいと思ってのことなんだ」

「それはわかってます。でも逆に考えてください。私が先……真也さんのために買ってきました！！って突然27万の時計とか渡したらどう思います？」

「吉岡にそんなことされたら、申し訳無さが勝つ！」

「でしょう？　そういうことです！」

「でも君はまだ学生だけど、俺には一応収入があるわけで……」

「お金は有限です。必要なところにかけるべきです。例えば私に臨時収入があったとして『宝くじで30万当たったんで、あなたのためにバラの花を1000本買ってきました！』って言ったらどう思います？」

「バラ！？……バラかぁ」
　俺は瞬時に頭の中でシュミレーションを行う。