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⑱吉岡に豊治神社を紹介する
そうだ、お馬様には散々お世話になったからな。ここは一つ一緒に参ってお礼を言ってこなくっちゃ。
でもあの神社は学校の近くだし、誰に見つかるかわからない。今行くのは危険だな！
全ての項目を振り返ってみたが大学入学前にできそうなことは見当たらない。
だが俺は吉岡を何処かに連れ出したかった。
この気持ちは『他の生徒たちが卒業旅行と称してみんなで出かけているのにうちの吉岡がどこにもいかないだなんて！』という対抗意識もあると思うが、それよりも俺自身の体験に基づくところが大きい。
大学受験に失敗した俺は母の見栄によって強制的に１年間海外留学させられた。
だがこの１年は俺にとってとても実りのある1年だった。
これまで俺を縛り付けていたものから解放され、自分の内面をリセットする大切な経験だった。
吉岡にも外の空気を吸わせてやりたい。この密室でコソコソ息を詰めてきた俺たちの不健全な関係性を、一度どこかでリセットしてやりたい。
そんなことを俺は考えていた。
「そう言えば吉岡、春休みは夏くんの引っ越し荷物をまとめなきゃいけなくて忙しいとか言ってたなぁ？ ん、春休み、夏くんの荷物、引っ越し……かぁ！」
俺の中に一つのプランが浮かんできた。どうかな？ これなら吉岡も納得してくれるんじゃないかな？
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