115人が本棚に入れています
本棚に追加
合格祝賀パーティー(ハル)
「湯浅くんのお宅に来るのも、今日が最後かもしれないな」
ふとそんな事をつぶやきながら、私はガレージに自転車を停めさせてもらう。
後藤くんと湯浅くんの見慣れた自転車が仲良く並んでいる。前カゴにヘルメットが入っているのが湯浅くんの自転車だ。
でも見知った二台以外にも、今日は色とりどりの自転車がたくさん並んでいる! えっ? 今日って一体誰が来ているんだろう!?
私は不測の事態に身構えながら、ポーチを駆け上がりインターホンを押した。
「ハルちゃんいらっしゃい〜!」
上機嫌のスミレさんが出迎えてくれる。
「合格おめでとう!!」
「あっ、ありがとうございます。これ、頂き物ですが……」
「まぁ~、萩の月じゃない! ありがとう。これ美味しいのよね〜!」
紙袋を受け取ってもらえてホッとする。
覗き込んだリビングには誰もいなかった。
「あれ?」
驚いて振り向くと、廊下でスミレさんが手招きしていた。
「ハルちゃんこっちこっち! 今日はベランダでバーベキューパーティーなのよ!」
スミレさんについて階段を上る。湯浅家の2階に上がるのは初めてで少し緊張する。
2階に上がり、人口密度の高さに驚く。
「えっ、こんなに!?」
「武彦くんに連絡をお願いしたら、パソコン部のラインで参加を募ってくれたの。そしたら後輩くんたちがみんな来てくれたのよ! 今日はみんなの名前を覚えなきゃいけないから、忙しいわ!」
スミレさんったら、全員の名前を覚える気でいるの!?
これ、ざっと見て20人は居ると思うけど……。
最初のコメントを投稿しよう!