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『さっきメールしたのに気づいてねぇの? 兄貴が免許取ったから車で迎えにきてもらうんだよ。 一緒に乗ろうぜ。ほら。』 そう言うと、体育室側の窓の近くにあった私のカバンを持ってきて、早く片付けるように促した。 そんな様子を見ながら、湧き上がる涙を堪えた。 自分の気持ちに嘘はつけない。 息苦しさに踠いても。 スケッチブックをカバンに入れながら森野くんに『ごめんね』と謝った。 『じゃあな、森野!』と言ってアサキが先に教室を出る。 私もドアを出る時に振り返ったら、森野くんは眉毛を下げて、でも口角は上げて手を振ってくれた。
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