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結実「 みーずきっ !!! 」 瑞希「 うおっ、 」 急に後ろから飛びついてきた僕の友達・斎藤結実 。 僕は夏目瑞希 。東京都のとある高校に通う平凡な女の子 。 一人称が僕なのには触れないお約束だよね 。今は多様性の時代だもんね 。 結実「 何してんのー ... ってまたその本読んでるの 」 瑞希「 うん、悪い ? 」 結実「 否別に悪くはないんだけどさー ... いい加減もう死んでる奴に恋するの     辞めたら ? 現実にはもっといい男が居るよ 」 僕がいつも読んでいる本 それはあの泣く子も黙る武装集団「 新選組 」の歴史本のこと 。 そう、僕は 歴史上の __ 人生で出会えることすらない、既に死んでいる人物に 恋しているんだ 。 その御方の名前は、沖田総司 。 美男剣士と呼ばれている、新選組壱番隊隊長の御方 。 彼は鬼の副長・土方歳三や、新選組局長・近藤勇と違って、後世に写真が 残っていない 。 つまり、顔も知らない歴史上の人物に恋しているんだ 。 瑞希「 僕は ... 沖田様以上に素敵な男性は居ないと思ってるから 」 結実「 うわ、夢がないねー ... ていうかあんたがぼっち回避できてるのうちの     お陰なんだからね !?!? 感謝しなさいよ !?!? 」 瑞希「 はいはいありがとうございます 」 別にぼっちだろうがなんだろうが気にしないんだけど 瑞希「 ... あ 」 瑞希「 そろそろ時間だ( ガタッ 」 僕は沖田様の影響で剣道部に所属している 。 幼少期から沖田様 ... 新選組の本を読んで育った僕は、5歳から剣道を始めた 。 今では全国大会常連にもなり、剣道界のエースとも呼ばれる程になっている 。 今は8月 。もう少しで剣道夏季大会がある為、出場者は稽古に追い込まれている 。 結実「 あーそっか、瑞希は今年も全国か 。大変そうだね 」 瑞希「 結実も剣道やってみれば ? 楽しいよ 」 結実「 ぜっっったいに嫌だね 」 瑞希「 なんでさ、どうせ結実暇でしょ 」 結実「 うち時間縛られるの嫌いだから 」 瑞希「 ... 何かっこつけてんの、きもいんだけど 」 結実「 酷っっ !?!? 」 瑞希「 じゃ 」 結実「 おい逃げんな瑞希 !!!! 」 後ろでそう叫ぶ結実を華麗にスルーし、 僕は教室を後にした
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