0人が本棚に入れています
本棚に追加
九分咲き -春休み9日目-
「わーい!遊園地だー!」
地元にある遊園地、千葉にある某ネズミリゾートには及ばないが自然も多くて広いし、レトロで一日中楽しめるのだ。それに私にとっては数年ぶりの遊園地楽しみすぎる。しかも、隣には陽向がいる。
「子供かよ。」
「そんなこと言って、ひなたも楽しみなんでしょ?」
って言って、陽向の手を引いて中に入っていく。
「まずは、カチューシャでしょ!」
私はお店に入るやいなや、カチューシャコーナーに一直線。陽向に似合いそうなねこ耳のカチューシャを手に取る。そんな可愛いの自分に似合わない、って言ってだけど、付けてあげるって言ったら大人しくなった。私が付けやすいように陽向がかがんでくれた。陽向の頭にねこ耳のカチューシャを付ける。に、似合う…。かわいい~!そしてこっちを向いて
「にゃん」
って。自分の魅力を分かっていらっしゃる、あざとかわいい。私は色違いのカチューシャを購入した。私の手からカチューシャを取り、付けてくれる。似合ってるって!嬉しすぎる!そのままお買いあげだ。
「ねぇねぇ、お化け屋敷入ろうよ!」
って私が誘ったら、なんか乗り気じゃなさそうだ。あ、
「もしかして、怖いの~?」
目をそらした。図星だな。
「別に」
って強がってるけどバレバレだ。私がニヤニヤしていたら
「そっちこそ、怖くなったら腕につかまってもいいけど」
とかなんとか呟く陽向に連れて行かれた。入ってそうそう叫び声がお化け屋敷響く。私の声じゃないよ。私の横の人の声だ。
「まだ何も出てきてないけど」
って言っていたら、最初の仕掛けが作動した。壁からから何人もの手がわーっと出てくる。こんなことで怖がるとでも?なんて思っていたら、
「無理かも」
隣にいる陽向が腕を組んで身を寄せてきた。そういうのは可愛い女の子がやってこそ成立するのだ。足がすくんで動けないといったような陽向を引きずりながら早々と出口に向かった。そうでもしていなければ陽向は気を失っていただろう。
「た、楽しかったけど」
とかなんとか横で呟いているがお化け屋敷での様子は一生忘れないだろう。サンア推しのクラスメイトに言ってやろうか、ほんとは大の怖がりですって!
気分を変えようとしたのか
「次は何乗る??」
と聞いてきた。えー、なにがいいかな?
「メリーゴーランドと、ジェットコースター。でもやっぱり一番はゴーカートでしょ!」
なぜゴーカートが一番かと言うとHI:LIGHTのJAPAN 1st single『dazzling』のミュージックビデオでメンバーが車を運転しているシーンがあるからだ。ショッピングデートの時に買ったCDでまんまと『dazzling』にハマってしまった。ミュージックビデオも何回も見たので覚えている。助手席目線のシーンもあるのだ。まあサンアは免許を持っていないからCG合成だとDISC2のDVDに収録されていたミュージックビデオのメイキング映像で言っていたけど。あのシーンが隣で再現されると思うとサンアのファン(新規)としてワクワクが止まらない。順番が来てゴーカートに乗り込む、もちろん私は助手席に。カメラを構えたいところだが、撮影禁止の約束なので仕方ない。陽向がアクセルを踏むとゴーカートが走り出した。ここの遊園地のゴーカートは全長1.4キロメートルと長く地形を活かしたコースが楽しいと人気なのだ。陽向は意外なことに運転が上手い。急な坂道のコースも颯爽と通り抜ける。急斜面につい目を瞑ってしまった。目を開けると、風にゆれた陽向の桜色の綺麗な髪が視界に入る。ふと横に目を向ける。しっかりとハンドルを握り、真剣な眼差しで前を見つめる陽向の横顔。かっこいい。ミュージックビデオの何倍も。
最初のコメントを投稿しよう!