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二分咲き -春休み2日目-
今日は午前中臨時の三者面談があった。目指すところがないことを再度気付かされ、早く決めないとと散々せかされた気がした。気分が相当落ち込んだ。そうだ、お昼ごはんを食べて、お気に入りのドラマでも見て。それで、今日もあの木の下に行って、気分が晴れるまで歌ってやろう。陽向さんに会えたらいいな、なんて考えたら心なしか早歩きになった。丘の一歩手前で木の下に人影が見えた。
「ひなたさんだ」
そう呟いて丘を駆け上がる。
「あれ、ひなたさん寝てる…?」
陽向さんは木の下に寝転がって、片手を額にのせて、目を瞑っていた。起こすのもなんだと思ってそっとしておこうと思ったが、やはり気になってその顔をそっとのぞき込む、きれい…。あ、前髪目に入りそう。払ってあげようと陽向さんの顔へ手をのばす。そのとき、陽向さんに急に手首を掴まれた。寝ていると思ってたからびっくりした。陽向さんは
「なに見てるの?」
って言いながら起き上がって、
「正直、かっこいいって思ってたでしょ?」
って言って私に一歩近づく。後ずさりしながらブンブン首を振って否定するともう一歩近づいてきた。また後ずさりしたら後ろの木の幹にぶつかった。もう、逃げられない。
「思いました、少しだけ。」
って答えたらニヤって笑って
「素直でよろしい」
って、頭にポンって手を置かれる。顔が熱い。うつむいてたら顔をのぞき込まれて、恥ずかしすぎて両手で陽向さんを軽く突き放す。え?陽向さんってこういうタイプだったの??やっと座った陽向さんは
「柄じゃないことしちゃった。ごめんね。」
次は上目遣いで言うから、あざとい。
「じゃ、じゃあ申し訳ないって思ってるなら、今日も聞いてくださいよ。愚痴。」
やられっぱなしは嫌だから、陽向さんの詫びを逆手にとってやった。はいはいって、ちょっと面倒くさそう。
必殺、超進学高生の愚痴、を心ゆくまで聞かせてやる。
「さっき、三者面談だったんですけど、早く志望校決めろってうるさくて。」
1時間経過―。
「すっきりした?」
「はい!陽向さんって聞き上手ですね。」
「ほとんど何も言ってないけどね。」
そんな会話を交わす時間も気を使わないでいられるのはとってもいい。何気なくスマホの画面を見た。もうこんな時間!?
「私、今から塾なんです。今日も話聞いてくれてありがとうございました。それじゃあ!」
「塾、頑張って」
って手を振ってくれる。今日の塾はいつもより頑張れそうだ。
そんなこんなで帰る頃には午前中の嫌なことなどすっかり忘れていた。
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