職場のモテ男×職場の地味男

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腹も満たされた所で、俺と日下部はゲームを始めた。 予想以上に、日下部はこのゲームをやりこなしているようだ。 「日下部、強い。」 「伊達にゲームオタク語ってないからな。」 「何時間プレイしてるんだ?」 「えっと、最近の土日はほぼゲーム三昧だったから、40時間くらいかな。」 「俺よりやってるし。」 日下部のゲーム好きには驚いた。 「日下部は、休みの日に出掛けないのか?」 「近所に買い物に行くくらいだな。たまに遠出もするけど、ほとんど家に居る。」 「インドア派だ。」 「そうそう。坂下は?」 「俺、日曜日は朝から食材の買い出しに行って、1週間分の夕飯の作り置きしてる。」 「おお!俺より行動的じゃん。」 こんなに誰かと話す休日はいつぶりだろうか。 しかも、大好きなゲームをしながら。 「坂下、右だ!敵!!」 「お!俺、そっち倒すわ。」 「ん!俺は上の敵倒す。」 俺と日下部は、見事な連携プレーをみせ、敵を次々に倒していった。 「お疲れ、坂下。」 「日下部もお疲れ様。」 「腹減ったな。」 日下部の一言で、時計を見た俺は驚いた。 「18時だ。」 それは腹も減るはずだ。 「あっという間だったな。そうだ!今から夕飯食べに行かない?」 「いいね。」 「坂下ん家の近くの居酒屋は?」 「俺はいいけど、日下部は遠くないか?」 「そこなら徒歩圏内。」 そうだった。昨日、俺と日下部の家は意外にも近い事が発覚したのだ。 今まで、会わなかったことが不思議なくらいだ。 「じゃあ、今から向かう。」 「了解。」 俺は電話を切ると、出かける支度に取り掛かった。 着替えをし、髪をセットする。 髭は、まぁいっか。 こんなにも足取りが軽い日は久しぶりだ。
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