09話花毛

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09話花毛

「①」  ーー野薔薇家ーー 「真理亜」 「お……はい」  真理亜と呼ばれた少女は祖母の前に正座する。 「おまえさん。そろそろ高校生だよね?」 「はい」  と、返事するが慣れない座り方で足の痺れが来てる。 「野薔薇家を再興するためには必ず、必ずおまえさんを立派な跡取りしなければならないのは……わかってるよね?」  と、祖母はにこやかに笑いかけるが彼女も足の痺れが来ていた。 「……わかってます」  真理亜も足の痺れが強くきてトイレ行きたくて我慢してる。 「なら、その言葉忘れるないぞ?……!」  祖母も我慢してトイレに向かうとするが足が痺れて身動き取れない。そこに真理亜もすかさずトイレに向かうとするが祖母が行かせないように足を攻める。  彼女達の呪縛が取れたのは10分後でようやく各自トイレに入れた。  ーー野薔薇高校1年B組ーー 「おーはーよーと♪」  真理亜がクラスメイトに挨拶する。  彼女の場合は男勝りなことから友人も男友達が多い。 「おーす。真理亜」 「おぅ!鼻木」  その男友達の中で唯一仲がいいのは鼻木だった。  一緒にサッカーするほど仲がよかった。 「なぁ、真理亜。あの話どうだ?」 「あれか?……そうだな」  真理亜はしばらくうーんと唸り出す。  高波もしばらくうーんと迷い出す。  よし!と真理亜は覚悟決める。  よし!と高波も覚悟決めるがみんなはムシする。 「お前が入ってる部活入部するぞ」 「そうか。ありがとうな」と真理亜の頭を撫でる高波。 「ちょっ!?やめ……」  と、撫でられる真理亜は満更ない様子だった。 「②」 「では、次は高波!」 「はい」  部長夜尻真夜のかけ声で部員達は怪異談を各自披露する。  その体験入部として入った真理亜も虜になって聴き入る。 「以上です」  ちょうど高波の怪異談が終わった。 「じゃあ、次は鼻……いや、野薔薇やってみるか?」 「え?俺が?」  真理亜は自分が呼ばれることに戸惑っていた。  そんな中、鼻木が真理亜にフォローを入れる。 「おぅ。よかったな。大丈夫だ。最初は簡単な怪異談でいいからな。そう、おっ「それ以上言うとわかるよな?」はい……」 「簡単なモノ」と真理亜は悩み出してつぶつぶとつぶやく。  そして真理亜はある怪異談を思いつき披露する事を決めた。 「よーし!とっておきの怪異談を披露するぜ!怪異談花毛。ご静聴下さい」 「はなげ?」と虫男が鼻毛を抜こうとすると美冬が虫男の足を踏み付けてやめさせた。  真理亜は気持ちよく怪異談を語ってくれた。 「③」  突然だが俺の庭に花を育てているんだぜ。  その見慣れない花が咲いていたんだな。  その花に毛が生えていたんだな。  うんうん。それでな。  その花毛の毛を触れるとな。  一瞬バチッて静電気鳴ったんだよな。  そこで俺は特に気にせず家の中に戻り、自分の部屋でそのまま積んでいたゲームをやっていたぜ。  で、次の日の朝、目を覚ますとな。  俺のベッドの上に大量の毛があったんだよ。  そして俺の腕にボーボーに生えてたんだよな。無数の小さな花がな。 「④」 「という怪異談だぜ」  真理亜が怪異談を披露すると部員達は拍手する。 「まぁ、最初だからそれなりよかったぜ。真理亜」  鼻木が褒めると照れくさそうになる真理亜。 「……」  そのじっと鼻木と真理亜が親しくなるのを羨ましそうに見てる夜尻を美冬は何かを感じとっていた。  そして真理亜の怪異談でお開きになりそのまま部員達は解散して帰宅した。 「⑤」  ーー野薔薇家ーー 「ただいま♪」と真理亜が帰宅すると家の中は誰もいなかった。 「ばぁ……ちゃん?いねーのか?ん?」  居間にあったのは小説の本だった。  そのタイトルは野薔薇という小説。  真理亜は普段は漫画を読むがその小説が気になり中身を読んで見るとその小説にハマりそのまま部屋に持ち帰り読んだ。  その時彼女の背後には両眼の黒い少女が付き纏うことになった。  花毛 完
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