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16話妖精の縦笛
「①」
ーー小宮雑貨屋ーー
ここではいろいろな日用品など売られており、ちょっとした掘り出し物が売られているケースがある。
そんな和馬達もたまにこの店に訪れてめぼしい物を見ていく。
「これ、いいな」
部員の高波が縦笛を手に取り始めると和馬が言った。
「それ、買うのか?」
「う、うん」
と、和馬はニコと笑った。
「それ買ってやるよ。来週お前の誕生日だろ?景気づけに奢ってやるよ」
「ふぇ!?あ、ありがと……」
と、高波が満更ない様子で頬を赤く染める。
夜尻真夜はそっと彼らを羨ましそうに見えたが何も言わずに距離を取った。
和馬達は充分お買い物を楽しんだ後、徒歩の帰り道、星田美冬がある怪異談を語ってくれて皆を鳴かせていた。
「②」
僕たちは小さな店のクラブハウスで演奏会をした。
僕たち含むお客さんは年配が多いので馴染みやすかった。
そこで今日は楽器を新調して新しく購入した縦笛を披露することになった。
この縦笛は古いアンティーク店で購入したモノだ。
なんでもこの縦笛を吹くと、妖精が呼び寄せるらしいが、まぁ、迷信だろうとこの時は思っていた。
そして僕たちメンバーが出番となり、曲を演奏する。
~♪
音色は綺麗に弾いてるが僕が吹いてる縦笛はどこか気味の悪い高音だった。
すると、突然観客の1人が踊り狂い歌うのだ。
その観客に釣られてみんな踊り狂い歌い続ける。
この異常性に僕たちメンバーは演奏を止めようとするが何故か演奏は続ける。
僕たちは気が狂うように踊り狂い演奏する。
そしてみんなはいつの間にか殺し合いの発展する。
そして演奏が終わるまではみんなは生き残ることはなかった。僕の最期に映る瞳には見慣れない小さな妖精がそばに止まった。
「③」
「じゃあな。高波また明日な」
「うん。和馬君も明日」
和馬と高波は二手に別れて各自帰宅する。
横断歩道を渡る時に彼女は明日想いを伝えようと決心する。
高波は和馬の事が好きだということを。
彼女が怪異談語る部活に入ったのは彼がそこにいたからだ。
想いが伝わらなくても彼のそばにさえいれば……
でもそれはーー、、、、
叶う事はできなかった。
そこに猛スピードで近づく大型トラックが彼女の存在ごと狩ってゆくからーー。
ーーーーーー。
「④」
ーー鼻木家ーー
土砂降りの晩は特にジメジメしている。
俺の部屋で漫画を読んでると携帯から部長の着信が来たので電話取る。
「もしもし、部長どーしたんですか?」
『……鼻木』
部長は何故か涙声だった。
ふむ、もしかして何か怖い目でもあったのだろうか?
「もー。泣かないでくださいよー。また怖『高波が今日交通事故で亡くなった』……へ?」
俺は呆気に取られて携帯を落とす。部長に言われた言葉に頭の中は一瞬真っ白になりフリーズする。何度もケータイから部長が呼びかける声がするが気にならない。
「高波が……死……んだ?」
俺はもう一度、あの優しい高波の姿を見たり、声を聞くことは二度と叶わなかった。
妖精の縦笛 完
出演登場人物
鼻木和馬
夜尻真夜
高波美衣子
星田美冬
梅田虫男
猫見蜜柑
毒川里美
野薔薇真理亜
小野姫子
野薔薇怪異談Main story02 END
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