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04話通貨儀霊
「①」
ーー????ーー
あたしは幽霊が一度見たかった。
まぁ、キ族出身だけど國生まれではない。
だけど、体質じゃないから、幽霊を見ることはかなわない。
そんな感じでネットのオカルト掲示板で幽霊を見ることができると聞いてあたしは早速実践することににゃるなぁ……うっかり口癖を発したのはキノセイ。
ーーーーーー。
「行ってきますニャー♪」
梅雨明けの日照りの暑さ。
あたしは涼しげな薄青のブラウスを着込み町中を歩く。
目的は町外れのタバコ屋さん。
無論、未成年者であり喫煙にも興味がない。
そこに設置してある自動販売機が目的である。
その自動販売機は曰く付きのアレだったからね。
その時あたしはワクワク感じていたから。
ーー山口タバコ屋ーー
「いらっしゃい」
馴染みのおばあちゃんが店番する。
早速あたしは店に設置してある自動販売機に通貨を入れる。
少々500円もして値を張るが早速購入した。
『ありがとうございました』と機械音声アナウンスが鳴り、取り出し口から鈴のようなモノを取り出す。
この自動販売機は動物や虫達など呼び寄せる鈴の自動販売機である。種類は豊富にあり、あたしが購入した鈴は幽霊達を呼び寄せるたぐいだった。なのであたしは首元に鈴をつけてその場で散策した。
ーー1時間後ーー
おかしいニャー。
幽霊どころかまったく人が見かけなかった。やはり根もない噂にすぎずパチモンだったのだろうか……。
しばらく散策してみたが誰も見かけなかったので夕暮れ時間帯にそのまま帰宅することになった。
ーー猫見の自宅ーー
「ただいまニャー」
帰宅したが誰もいにゃかった。
しかし、どうしてだろうか?家の鍵が空いてるのに留守なのは正直不用心だなぁと思った。
そして、キッチンルームに向かうと、母親が調理していただろうその場に残ってあったのだ。
(何かがおかしいニャー?)
ふと、あたしはテレビをつけるとそこに映っていたのは人もいない風景やスタジオだった。
そう、まるで忽然と姿を消したかのように……。
あたしは怖くなり、友人、家族、知人、警察などに携帯をかけても繋がらなかった。
あたしは愕然とした。
「ま、まさか!?この鈴?」
あたしはこの鈴がこの奇妙なモノを作り出していると。
だから、あたしはこの鈴を外そうとしても外せなかった。
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も外そうにも外せない。
いやだ。
いやだ。
いやだ。
誰か助けて。
そしていつの間にか停電なり、真っ暗になり、あたしは真っ暗なか彷徨っていた。
どこまでもどこまでもどこまでも彷徨い続けるとあのタバコ屋にいた。
その時あたしは見つけたのだ。
そこに突っ立っているあたし自身の姿が……。
あたしは迷わずあたしの元に向かった。
そして気づいたら、あたしはタバコ屋にいてその場に突っ立っており、あの身につけていた奇妙な鈴は忽然と無くなっていた。
「②」
「……という怪異談ニャ」
新しく部活に入部した所で怪異談を披露したあたし。
このホラーフェチズム?野薔薇怪異談同好会はよくわからなかったけど怖い話を語ると聞いて何となく剣道部と掛け持ちで入ったけど結構気に入ったニャ。
そこに部長は青ざめた様子で肩を震えているけど大丈夫なのかニャ?
そしていくつか怪異談を披露した後、お開きになった。
「③」
「なぁ?見たか。和馬」
「ああ。見ましたよ。ばっちりと」
「……アレはなんなんだ!?一体」
「彼女に悪いですが教えないでおきましょう」
俺、鼻木和馬。
猫見がいくつか気持ちよく怪異談を披露した時に背後に漂う邪なモノ達。
彼女は体質じゃないから、全く無害そうで視えないが俺と部長はハッキリと視えるだよね。
……その彼女のうしろにいるモノがな。
猫見にとって幽霊みたさに部活に入ったが教えるのはよそうと誓った俺と部長だった。
通貨儀霊 完
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