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05話野耳馬
「①」
ーー野薔薇動物園ーー
「うわぁ。もふもふ。うふふ」
高波はあちこちに使い捨てカメラで写真を撮りまくる。
「おい!あちこちかけるとこけるぞ?」
俺はやんわりと注意するが聞いてないようだ。
さて、俺たち部員一同はここ野薔薇動物園に来ている。
世界各地にある動物が見られることはもちろんことあの世の國原産の動物も見られることが特徴だな。
自己紹介はまだたったな。
俺の名前は梅田虫男。15歳。
趣味は昆虫採集に小説を書くことだな。一応見習い無視家だ。
え?おまえは誰だって?
いやいや。お呼びじゃないことは余計だな。
主人公である鼻木和馬はこの場にいないぞ?
彼は現在、自宅で風邪熱で寝込んでるから、俺が代わりに来たのだからな。
んー。なんでか和馬の頼みだったからな。ま、みんなから無視家て言われてるし。そこんとこ成り行きで無視する。
無視家だからな。
さてさて、そんな部長夜尻真夜は彼のためにかなりオシャレしたのか水色の帽子と白のワンピースを着込んでいる。
顔が赤面してるのは愛嬌だな。
さて。ちょうどそこに野次馬が集まっているようだ。
ふむふむ。どうやらいい若者同士口喧嘩のようだ。
はた迷惑だがそれよりも気になるだよなぁ。
ーー野次馬にまぎれ込まれている耳が長い馬の存在がな。
そう。俺だけ視えている。
その馬は曰く付きのアレだったから。
聴きたいか?いいだろ。その馬はなーー。
ーーーーーー。
「②」
俺たちサラリーマン3人組は居酒屋でハシゴ飲みしていた。
何軒か立ち寄って帰路に向かうとガラの悪いヤンキー達が喧嘩していてその場で野次馬が出来ていた。
「おうおう!やってるな。ダメだなぁ。ちゃんとやめさせないと。うぃ」
と、俺の先輩同僚がケンカをやめさせようと酔っ払ったままそのケンカ先に向かう。
俺は止めようとしたがふと野次馬に気になるモノがあった。
野次馬に紛れ込む耳の長い馬。
その野次馬ならぬ野耳馬と言ったところだろうか?
その時、その近くにいた同僚がその馬にあろうか近づく。
「おうおう。馬そうな馬ちゃんだな。なんか気になるもんあんのか?おーい」
すると、野耳馬はプルプルと震え出してその場にいた野次馬が全て、
ーー牙が生えた馬に成り変わった。
「は?」とその場にいたヤンキー達も同僚2人も呆気に取られる。
そして牙を生えた馬が彼らを襲いかかり喰いはじめた
彼らの中から助けを呼ぶ悲鳴が湧き上がる。
俺はあまりにも恐ろしさに助けを請うことも出来なかった。
俺は慌ててこの場に逃げだした。
「③」
俺はどこまでも遠くに逃げていた。
そんな時に見廻りに来たパトカーに助けを呼んだ。
「どうかしましたか?」と警察官は尋ねたので俺は正直に答えた。
「俺の同僚達が喰われたんです。なんでも野次馬にいたやつらが牙に生えた化け物の馬に変身したんだ!」
すると警察官はニコと笑った。
「……ひょっとしてこんな奴らでしたか?」
その場にいた警察官の顔が長い耳に大きな牙を生やした馬に変身して俺はその場で悲鳴をあげた。
「④」
という怪異談だな。
ふふふ。どうだったか?俺の怪異談はな。
へへへ。決まって惚れ直したか。
そうか、そうか。
やっぱり俺も……。
「おーい。にぃちゃん。そろそろ閉園時間すんだけど、どうすんだ?」
「……」
飼育員に呼びかけられた。
俺はいつのまにか動物園の閉園時間帯までいたようだ。
そして部員達はいつのまにか帰宅していた。
俺は無視家。
別名ぼっちジョーカーなり。
ぽつん。
グスン。
野耳馬 完
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