19 砕けた心

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19 砕けた心

 気が小さい自覚はある。  柊真はストーカーだと言われたことが中々頭から離れなかった。  あれを言った男があの高尾だということは後で知った。初めて会ったときと印象が全く違ったので長らく結び付かなかった。  つまり、あの時のチンピラが相良のバーのオーナー。相良に店をあげたという、『社長』。人の見た目はあんなに変わるものか。信じられない。  なら、『深町』は何処に繋がるんだ?  相良にとって高尾が特別な男だというのは明らかだった。直接聞いてもはぐらかされる。『深町』についてもだ。それで彼等の関係を柊真が嫉妬をしないわけにいかなかった。  ある日やってきた相良に柊真は不満をぶちまけた。  その事から二人は初めての喧嘩をした。 「どうしてあの男の傍に居続けるんだ」  言葉で叩き付けるように彼を責めた。  これでは他の人間と同じ、感情の俗物だ。喧しいと切り捨てられてもおかしくない。けれども相良は項垂れた柊真を慰めるかのように頭を撫でてきた。    その後、柊真は相良に縋って謝り倒した。  このままではいつまでも子供扱いだと思いながら彼の胸を借りた。
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