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父は大人しくしている櫻子の代わりに、彼女の学歴や性格などについて話始める。
日下部はうんうんと真剣に耳を傾け、絶妙なタイミングで相槌を打つので、父は喜んで櫻子の昔話まで披露し始めた。
口下手な櫻子だけに聞き手に回ることの方が断然多いが、これほど相手の気持ちを盛り上げることはできない。
そのため、聞き上手な姿には感心した。
父が一通り話し終えると、今度は日下部が自身の経歴や家族構成などについて話す。
今度は櫻子が話を聞く番である。
彼はトップの大学を出ている賢い男で、その点を父が高く評価していたため、そこにはすごいですねというように大きく頷いてみせ、他の話でも小刻みに頷きながら微笑むも、彼ほど上手く対応できなかった。
「櫻子は日下部君に何か質問したいことはないかい?」
突然父に話を振られたことで、しばし考えた。
気になっている点は一つである。
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