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それを確認できる絶好のチャンス。
「……何かスポーツはされていますか?」
この質問は櫻子の中で重要だった。
質問が意外だったのか父が「櫻子はスポーツ観戦が好きだったかい?」と尋ねてくる。
「ううん、少しお聞きしてみたかっただけ……」
スポーツにはまったく興味はない。
興味があるのは別のものであるので、父に曖昧に微笑み、どうなのだと日下部を見つめた。
「運動は昔から苦手でして、まったくしていないです」
「普段から体を鍛えたりもされていませんか……?」
更に質問を重ねる櫻子に驚いたのか、日下部は目を瞬く。
それでも丁寧に答えてくれた。
「いいえ、頭を使うことは好きなんですが、体を動かすことはどうも敬遠してしまい鍛えることもしてないです」
やっぱりそうなのね……。
「そうですか」と小さく微笑みつつ、内心ガッカリする。
体を自然のままに放置しているとなると、好みの体である見込みはない。
櫻子は無類の筋肉好きなのであった。
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